紙袋ランタンを用いた冬を彩る地域イベント

あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル(2025年2月1日)Lanterns made from paper bags.

「紙袋ランタン(ランターン)」をご存知でしょうか。その名の通り、買い物で用いる「紙袋」の中に蝋燭を入れ火を灯し、ランタンにするものです。今回、札幌市厚別区にて開催された地域イベント「あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル」を観に行きました。

 

あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル(2025年2月1日)Lanterns made from paper bags.

◆「紙袋ランタン」とは

「紙袋ランタン」の作成はとても簡単。最も単純なケースでは紙袋の中に入れた蝋燭の火を灯すのみですが、この際、光の透過度が高い白色の紙袋を用いると炎の明滅が揺らぎとして透けて見え、それだけで情緒があります。

紙袋にイラストを描いたり、凝ったものになると切り絵状に紙袋を切り抜いて装飾をつける等の工夫次第で大きく印象が異なってきます。

こうして「紙袋ランタン」は身近な日用アイテムで老若男女だれでも手軽に作れることから、児童館など小規模な集団内で行われていましたが、これをイベントとして大々的に行ったのは、2003年に北海道滝川市にて彫刻家・五十嵐威暢氏の呼びかけにより始まった「たきかわ紙袋ランターンフェスティバル」が最初ではないかと考えます(滝川市の例では、毎年2月に滝川駅前に市民が作成した紙袋ランタン・約1万個(!)が用いられるそうです)。

 

あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル(2025年2月1日)Lanterns made from paper bags.

◆「あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル」

札幌市内の東側に位置する「札幌市厚別区」は、1980年代に巻き起こった空前の住宅ブームによって分譲宅地として拓かれたニュータウンを中心とした、いわゆる郊外型住宅エリアです。それ故か地域に根付いた活動も活発な地区。

この「あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル」も、そうした地域イベントの1つで今回(2025年)で10回目を数えるイベントとなりました(途中、2020〜2022年は新型コロナ感染拡大の影響から中止していたようです)。

私は今回、初めて訪れたのですが、会場は地域のコミュニティ施設である「厚別西地区センター」と、隣接する「厚別さくら公園」にて開催されています(駐車場なし)。

約2000個の紙袋ランタンが並べられた光景は、なかなか壮観でした。

 

あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル(2025年2月1日)Lanterns made from paper bags.

私は地域住民ではないのでエリア外から参加した市民ですが、参加者の多くは顔馴染みなご近所同士の地域住民の様子で、いい意味で手作り感が満載な温かい雰囲気のイベント。

紙袋ランタンの展示は公園側で行われていますが、隣接のコミュニティセンターでは甘酒やホットドック等が格安(150円とか)で販売されていたのも良い感じです。

一緒に行った次女(小3)も初めて目にする紙袋ランタンを興味深げに1つ1つ眺めてはお気に入りの絵柄を探したりしていました。

 

あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル(2025年2月1日)Lanterns made from paper bags.

地域の小規模なイベントなので私のようにエリア外から訪れる人はいないだろう、と踏んでいたのですが、大きな一眼カメラを構えた写真愛好家たちに沢山遭遇しました。皆さん、こうした「映える」イベントにはめざといですね。

※余談ですが、構えているカメラを拝見するとSONY α勢が最も多く、次にキヤノンの一眼レフカメラ。私のようなキヤノン且つミラーレスな層やニコン勢には遭遇しませんでした。

 

あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル(2025年2月1日)Lanterns made from paper bags.

◆札幌、冬のイベントに感じる二極化

冬になると札幌市内各所で雪にまつわる様々なイベントが催されますが「二極化」というには若干、大袈裟なものの、明らかに2つの傾向に分かれて来たと感じます。

1つは、元々は地域の有志が細々と行っていたイベントだったのが訪日外国人観光客が訪れるようになり「観光客向けイベント」として商業化していったもの。駐車場の確保や交通整理要員の確保など運営自体にコストが掛かるようになった事で有料化やむを得ない事情もあるのでしょうが。

そして、もう1つは、この「あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル」に見られるように、あくまで地域に住む人たちが参加し楽しんで地域の結束を高める事を目的とした手作りイベント。幸いにして、今回のイベントは小規模であり、且つ札幌市内中心部から離れた住宅街で開催されたものなので観光客はゼロ。

派手な商業イベントも楽しですが、最近はこうした地域に根付いた小規模で温かみのある手作りイベントに心惹かれるのは、私が歳を重ねたからでしょうか。[了]

  

※参考情報1:撮影機材
カメラ本体:Canon EOS R
Canon EOS R 本体

交換レンズ:Canon EF24-70mm F2.8L II USM(+ マウントアダプター EF-EOS R
Canon EF24-70mm F2.8L II USM



※参考情報2:あつべつ西紙袋ランターンフェスティバル

実施時期: 2025年2月1日(土)16:00〜19:00
参加費用: 無料
開催場所: 厚別さくら公園

※参考情報3:札幌市における「春節期」の観光負荷

札幌市では春節の時期(毎年1月下旬〜2月上旬)に訪れる中国人訪日観光客の急増により、観光資源の過度な消費が引き起こす諸問題が顕在化されつつあります。

観光需要の増大は一部に経済的な恩恵をもたらす一方、都市インフラや住民生活への影響が懸念されつつあります。とりわけ、市内の主要観光地や商業施設では来訪者の集中による混雑が常態化し、公共交通の混雑や宿泊施設の深刻な供給不足が課題として浮上しています。

とりわけ悪い意味で目立ってしまうのが一部の訪日客によるマナーの欠如。訪日客による無秩序な振る舞いが地域社会との軋轢を生む要因となっている感は否めません。

こうした状況に対して、行政側も観光客の流動適正化と地域全体へと誘導する施策を模索するものの、短期間に大量の訪問客が押し寄せてしまう春節期の特性上その実現は容易ではありません。

持続可能な観光都市としての在り方が問われる中で、観光政策の見直しと受け入れ環境の整備が喫緊の課題となっています。

高城剛「 観光大国スペインに見る、オーバーツーリズムの現在と未来」

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